クラーボ編集部
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持続化給付金の概要
感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を支給します
引用:中小企業庁
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演奏者や指導者は給付対象になる?
コロナで売上に影響を受けたフリーランスを含む個人事業主が給付対象。もちろん演奏者や指導者なども対象です。
ただし以下①、②の両方に該当しなければいけません。
- 2019年以前から事業収入があって、今後も事業継続する意思があること。
- 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があること。
オケや大学等に所属していて給与所得がある方も、確定申告書の事業収入が50%以上減少した月があれば支給されます。給与所得の数字が100万でも1000万でも支給額には一切関係ありません。
最大100万円って実際いくら貰えるの?
2019年の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いた金額です。(10万未満の端数は切り捨て)つまり、2020年の任意に選んだ月の売上に12を掛けて出た金額を去年の事業収入から引いた金額が受け取れる金額(最大100万まで)です。
計算式を文字で書くとややこしいですが、普通にこれまでフリーで生活が成り立ってたけどコロナで収入が激減した演奏者や指導者なら大体みんな満額の100万円貰えるぐらいの感覚です。
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給付額は持続化給付金の公式サイトで申請する際に必要項目を入力すれば自動計算されて確認出来ます。事前に確認する場合は公式サイトの制度内容ページに算定用Excelファイルがあります。
必要書類
- 2019年確定申告書類の控え 収受日付印が必要。電子申告等で収受日付印がない場合はe-Tax受信通知のスクショや納税証明書(その2)などで代用可。
- 2020年売上減少月の帳簿 実際の帳簿であればフォーマット不問。
- 通帳の写し 口座番号や名義の確認用。お金の動きがわかる部分の写しは不要。
- 身分証明書 免許証等
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申請と振込のスケジュール
公式サイトによると、給付金の申請期間は令和2年5月1日(金)から令和3年1月15日(金)まで。電子申請の送信完了の締め切りが、令和3年1月15日(金)の24時まで。
申請後、通常2週間程度で振込まれるそうです。この類のお金の中ではかなり早いですね。
申請方法
中小企業庁の持続化給付金公式サイトからオンライン申請となります。
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- STEP.1自分が給付対象か確認持続化給付金公式サイトの内容をしっかり確認し、自分が給付対象かどうか確認します。
- STEP.2必要資料を準備間違えないように持続化給付金公式サイトで必要書類をしっかり確認します。写真を撮るかスキャンしてパソコンかスマートフォンに保存しましょう。後で迷わないように専用フォルダを作成した方が確実です。
- STEP.3申請するメールアドレスで仮登録後に本登録しマイページを作成、それから申請です。持続化給付金公式サイトの説明通りに進めば難しい事はありません。間違えないよう慎重に申請情報を入力し必要書類をアップロードします。
- STEP.4不備の連絡を待つ申請内容に不備があればメールでお知らせが来ます。不備部分をマイページから修正しましょう。
- STEP.5着金通常2週間で申請時に指定した口座に着金する予定です。登録した住所へ給付通知書が郵送されます。
持続化給付金と音楽家について
開業届を出してなくても対象、白色申告でも対象なので多くのフリーランス演奏者や指導者が支給対象になると思います。しかも多くの方が満額の100万円を貰える計算式になってます。そして申請はオンラインで30分も掛からず簡単に出来る、通常2週間で口座に着金というのも素晴らしいと思います。
しかし今回の持続化給付金は事業収入で申告している金額のみが計算の対象です。
雑所得や給与所得の数字はあっても無くても一切関係ありません。つまり雑所得や給与所得のみ申告していて事業収入の申告が0円の方は支給対象になっていません。
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雑所得で申告しているケース
事業として演奏や指導の活動をしているのに確定申告時に上手く仕分けが出来ておらず、全て雑所得で申告している人も一定数いらっしゃると思います。
確定申告時に1年分の収入をまとめて雑所得一本に全振りで申告している方は残念ながら支給対象にはなりません。
確定申告書という国のお墨付きの書類上で「私は雑所得はありますけど事業収入は無いですよ」と自ら申告しているという事になっている訳です。
今回の給付金申請には2019年分の事業収入が確認出来る確定申告書が必要です。過去に遡って雑所得を事業収入に申告し変える事が出来るのであれば、給付金申請も可能になるとは思います。
でも、雑所得と事業収入はそもそも収入の性質が違います。自由にどちらにするかを選べる訳ではありません。つまり過去、税務署員に収入の内訳や仕事内容などを全てしっかり説明した上で「あなたのその収入は雑所得ですよ」って言われた人は今同じ事を聞いてもきっとそれは雑所得なんです。
事業収入としての実態が伴っていないのに、今回の給付金をもらう為という理由で過去に遡って雑所得を事業収入に申告し変えるっていうのはかなり無理筋な気がします。区分が変わるだけの訂正って本来は無意味な申告ですし。
例えば、プライベートの領収書が誤って混ざってしまってる事に気がついて100円でもきちんと納税したいから修正申告するって流れで一緒に区分も変えて提出しちゃうとかならまだあり得そうな気もします。他にも、現金で受け取った1万円の収入があったのを思い出したから修正申告するついでにマルッと事業収入に変えて出しちゃうとか。
どちらにしても実態ベースですから、そもそもの話が事業収入なのか雑所得なのかを自由に選べる訳ではありません。
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【税理士監修】事業所得と雑所得の違いとは?具体的例を挙げて解説
給与所得のケース
大きな音楽教室に所属して仕事を受けている先生の場合、契約上は委任契約なのに給与所得として報酬を受け取っているケースもあります。
と言うことは税務上何もしなくても毎年会社側が年末調整をしてくれています。つまり自動的に65万円の給与所得控除を受けられている訳ですから税金面でお得になってた可能性も結構あります。なのでこれ自体が所属してる先生にとって悪だとは全く思いません。が、今回の持続化給付金は事業収入ベースで計算されますので受け取れません。たぶん会社側としては想定してなかった事態ですよね。
こちらも実態は給与所得ではなくて事業収入の間違いだったとして過去に遡って申告する手はあるかも知れません。会社とのやりとり等をクリアして2019年分の申告を事業収入として申告し直す事が出来たとしても、これまでお得になってた給与所得控除65万円分の経費を外した計算で追加納税が発生します。
2019年分だけが追加納税ならいいですが「給与所得ではなく事業収入だった」と自分が知ってしまった以上は、過去5年間に遡って申告し直さなければいけません。これを黙ってると意図的な脱税になる恐れがあります。つまりこれまで給与所得控除でお得になっていた可能性がある毎年65万円分を過去5年間に遡って外して再計算する必要があります。もちろん過去5年分の追加納税が発生する可能性大です。過去5年分の領収書を今更かき集められるのか。これってかなりハードルが高い気がします。
しかも会社側と「給与か否かについてを争う」って事は、自分は事業収入で生活している事業者(組織から独立し責任ある立場)ですって事を訴えていく訳です。
給与所得者(雇われの身)じゃない事を自ら宣言してそれを認めるように争っていく訳ですから、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を活用した休業補償を会社側に求める事も不可能になってしまいます。
個人的な考えですが、今回は会社側が給与所得として報酬を払っている事を問題にするよりも、国や経産省に支給条件の緩和を求める方が正解な気がしています。
雑所得を認めてしまうと仮想通貨やFX、先物取引等も支給対象になります。メルカリでお小遣い稼ぎしている人も支給対象です。給与所得を認めてしまうと一般的な会社員はもちろん、学生アルバイトや主婦(主夫)のパート・アルバイトやフリーターも支給対象になります。
今回の給付金は中小企業庁が実施していて、事業に使う為の事業者向けの給付金です。雑所得や給与所得が支給額の計算式から外れて事業収入だけを対象にしているのは、給付金の性質を考えると仕方ないのかも知れません。
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最後に
冒頭でも書きましたが、受付が開始した5月1日に当サイト編集部の周りでも知人含め4名のフリーランス音楽家がオンラインで申請し、4名全員それぞれ満額100万円の申請が出来ました。しかもたった2週間で着金予定です。5月3日の西村経済再生相の会見では5月2日17時までに申請された27万3000件については7日か8日には着金出来るように取り組んでいるとの事です。(5月7日追記→)安倍総理が本日午後行われた産経新聞のインタビューに対して、少なくとも8日だけで約2万件以上の給付を行うと言及しました。
他業種に比べて比較的固定費の少ないフリーの音楽家にとって100万円はとても助かる金額です。忘れずに申請するようにしましょう。
ただし、通算1回しか申請出来ませんので、現在の帳面では満額100万円の申請は出来ないが、今後更に収入が下がって満額申請可能な見込みがある方は条件をよく確認してから申請するようにしましょう。
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