一人の青年デレック・ブラウンがテナーサックスと歌声、キーの音や自然の音響だけで奏でるBEATBoXSAX(ビートボックスサックス)が世界中で話題となっている。
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真夜中のシカゴストリート
舞台となったのは氷点下5度を記録した2月真夜中のシカゴストリート。
ラフなパーカー姿で登場するのは地元シカゴ在住のサキソフォン奏者デレック・ブラウンだ。彼の代名詞となっているビートボックスサックスの名の通り、通常のテナーサックスソロにビートボックスのリズムと歌声を加えられ、シカゴストリートの自然な音響が重なり新しい音楽を作り出している。
【動画】ビートボックスサックスでスタンドバイミー
1人で静かに繰り広げるテナーサックスと歌とパーカッション。そしてシカゴストリートの音響。
何度でもリピートして聴けるほどの名演である。
デレック・ブラウン
ビートボックスサックスの考案者、デレク・ブラウンはシカゴ在住。彼は独特のサキソフォンソロとしてYouTubeを中心に活動している事がアジアを除く世界中で広く知られている。ジャズやファンク、クラシックまでジャンルを超えて創造的な新しい「ビートボックスのような」テクニックを使ったユニークな演奏スタイルは、世界中のフェスティバルや会場で聴衆を驚かせている。ブラウンは現在、ソロ「BEATBOX SAX」と同様に、注目のシカゴファンク/フュージョンスーパーグループ「Low Spark」にも関わっていることでも話題となっている。
使用楽器やセッティングについて
愛用しているテナーサックスはポール・モーリアの76システム。マーク6に近い音色とされているヴィンテージサックスの名器。
マウスピースはヴィンテージとは真逆の2000年に設立されたアメリカのマウスピース・ブランド、JodyJazz(ジョディ・ジャズ)のアルマイト製を使用している。NYで流行っているジャジーな音色かつジャンルを問わないマウスピースである。日本で購入すると約5万円程の高価なマウスピースだ。リガチャーはBGの革製、リードはレジュールの2(4分の3)を使用。
デレック・ブラウン-BEATBoXSAX
Can’t Help Falling in Love
Ain’t No Sunshine
電子機器の進化で誰でも簡単に電子音楽を作れる時代だからこそまさに逆転の発想ともいえるデレック・ブラウンのパフォーマンス。現代にありふれている電子音楽とは全く異なるビンテージサックスと自然の音響が生み出す芸術的な美しさは格別のものである。